恒例のことでもあるので、今年もこのエントリーを書くことにする。
1.カーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ『国家は破綻する 金融危機の800年』
やはり今年、第一にあげるべきなのはこの本。2008年秋に始まった経済危機は、日本の「文脈」では歴史の彼方だが、現実は、まだその渦中。
2.翁邦夫『ポスト・マネタリズムの金融政策』
金融政策についての「骨太」の書。バランスのよい整理。
3.平井俊顕監修『危機の中で〈ケインズ〉から学ぶ 資本主義とヴィジョンの再生を目指して』
「危機」というよりも、日本の論壇におけるケインズ解釈の整理という印象。経済危機との関連では、最初の討論での小野善康氏の理論をめぐる議論が興味を引く。
4.濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』
http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20111010/1318211052
5.水町勇一郎『労働法入門』
出だしの「つかみ」がよい。欧米の労働法と日本のそれとの思想の違いがわかりやすい。
6.アルバート・ハーシュマン(佐々木毅、旦祐介訳)『情念の政治経済学』
情念と利益をめぐる道徳観の歴史的な整理。
7.ジョージ・アカロフ、レイチェル・クラントン(山形浩生、守岡桜訳)『アイデンティティ経済学』
http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20110829/1314612923
8.山本周五郎『虚空遍歴』
「極東ブログ」の紹介をみて読んだもの。個人的にも「いま」読むことに意図を感じる。
9.杉原四郎編『河上肇評論集』
『貧乏物語』とあわせて再読。「人はパンのみにて生くものにあらず、されどまたパンなくして人は生くものにあらず」。
10.平木典子『カウンセリングとは何か』