鶴亀算と連立方程式(2)
前回、四谷大塚「応用演習問題集」から鶴亀算の応用問題を取り上げたが、今回も同じ問題集から、一行問題であるにもかかわらず前回の問題よりもさらに発展的な内容を含む問題を取り上げる。
貯金箱をあけると、1円玉、10円玉、50円玉ばかり全部で25まい出てきました。また、金額の合計は186円でした。10円玉は何まいありましたか。
今回の問題でも、まずは合計金額から、1円玉の枚数が10の倍数プラス1の形で表せることに気付くことがポイントとなる。よって1円玉の枚数を一端と表す。ただし前回と異なるのは、未知数が3個、連立方程式が2本という整数係数の不定方程式になることで、前回はあまり意識しなかった「1円玉、10円玉、50円玉の枚数が(正の)整数値である」という暗黙の条件を明示的に扱うことが必要となる*1。模範解答では、問題文の条件からの値は0と1に限られるため、「場合分け」を行った上で未知数が2個の通常の鶴亀算を行うことになるが、ここでは「1円玉、10円玉、50円玉の枚数が(正の)整数値である」という条件を一端留保し、これを連立方程式(行列)で表現する。
「掃き出し法」の結果は少々複雑であるが、つぎのようになる。
結果的にこの問題は、
をみたす正の整数, , を求めるという問題に帰着する。なお、この問題に取り掛かる前に「の値は0と1に限られる」と述べたが、この式からが0とはならないことが分かる。ここでは2番目の式からは2の場合に限られることが分かるので、答え(10円玉の枚数)はで7枚となる。
一行問題にしては少々複雑であり、現段階で正答を得る可能性が低い場合は、こうした問題は飛ばし、上位学年で再度勉強することも考えられる。