完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。今回は、推計の基礎となる潜在的(均衡)労働力率を2018年まで延長推計した上で、2019年1月までの結果を過去に遡って再計算した。
まず年間の結果をみると、2018年の真の失業率は2.2%と前年よりも1.5ポイント低下した。公表値である完全失業率2.8%より0.6ポイント低く、2018年の真の失業率は、基準年*1である1992年より改善していることとなる。前回推計値と比較すると、潜在的労働力率が上方改訂されたことで真の失業率は上方改訂された(2017年で約0.6ポイント程度の上方改訂)。改訂に伴う年齢階級別潜在的労働力率の上がり幅は引き続き大きい。
つぎに1月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.5%と前月から0.1ポイント上昇したが、真の失業率は1.8%と前月から0.1ポイント低下した。引き続き、真の失業率は減少基調である。現推計時点において、真の失業率は基準年である1992年より改善していることとなる。(12月の真の失業率は、前回は0.8%としていたが、改訂により足許で1.1ポイント程度上振れし1.9%となった。)
所定内給与と消費者物価の相関に関する12月までの結果は以下のようになる。物価および賃金はともに上昇基調であるが、12月は、ともに若干低下した*2。