備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

岩崎日出俊「サバイバルとしての金融−株価とは何か・企業買収は悪いことか」

サバイバルとしての金融―株価とは何か・企業買収は悪いことか (祥伝社新書)作者: 岩崎日出俊出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2005/04メディア: 新書購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (14件) を見る第1章 「金融」はあなたを金持ちにするか 第2…

保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)の公表について(金融庁)

野村正實「雇用不安」

雇用不安 (岩波新書)作者: 野村正實出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1998/07/21メディア: 新書購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (13件) を見る第1章 日本の失業率の特異性 日本の雇用・失業構造の分析をする上での出発点は、?国際的にみた場…

内藤伸浩「資産流動化型証券化とノンリコース・ファイナンス」(ARES)

1 資産流動化型証券化の実際 資産流動型証券化は、超大型物件の売却・バルクセール等の「資産処分型」のほか、「オフバランス型」と「資金調達型」に区分され、後者はさらに「借換型」と「取得資金調達型」に区分される。 「借換型」は、オリジネーターがSP…

藤本幸彦「不動産証券化における税務上の論点」(ARES)

■不動産売却の取扱い 金融資産以外の資産のオフバランス取引について、税務上、明文の規定はない。一般会計上の「リスク経済価値アプローチ」により、不動産がSPCに対して適正な価値で譲渡され、不動産に係るリスクと経済価値がSPCを通じて他の者に移転され…

保険業法等の一部を改正する法律案(金融庁)

本日の参院本会議で可決、成立。

(基本)レオンチェフ型生産関数とハロッド・ドーマーの成長理論

ケインズの有効需要の原理では総需要がGDPを決定するから、Y(=C+S)←YD=C+I。S=aY a:貯蓄性向 であるので、S(=aY)←I⇔Y←I/a、つまり、投資がGDPを決定する。ハロッド・ドーマーの成長理論における生産関数はレオンチェフ型:Y=min[K/v,L/u]であり、労働と生産…

04/11付けエントリーの日銀論文に関連して、田中秀臣氏の言及

このレビュー論文でいうことろの粘着インフレモデルの一候補としても小野モデルは考えることができるんじゃあないかと思います。(中略)小野モデルの素晴らしいところは、物価の水準とその変化率という「速度」の次元を巧妙に記述し、しかも物価水準の「速…

(基本)コブ・ダグラス型生産関数と労働分配率

コブ・ダグラス型生産関数:Y(t)=A・K^a・L^(1-a)、この場合、労働と生産要素が代替する。完全競争+伸縮価格という新古典派的な前提をおけば、dY/dL=W*/L(ただしW*:実質賃金総額)であるから、労働分配率はW*/Y=(W*/L)/(Y/L)=(dY/dL)/(Y/L)=1-aとなる。ま…

竹内文英「労働分配率低下の背景」(JCER研究員レポート)

要素分配率の変化を明示的に扱うことができるCES型生産関数を仮定して、分配率変化の背景を理論的に整理。Y(t)=[a{AL・L(t)}^{(sgm-1)/sgm}+(1-a){AK・K(t)}^{(sgm-1)/sgm}]^{sgm/(sgm-1)} L:雇用者数 K:資本ストック AL:TFP sgm:資本と労働の代替の弾力性(s…

ポートフォリオ・リバランス効果

04/15付け日経金融新聞記事(「量的緩和よりホリエモン?」)によると、「みずほ総合研究所によると、企業の設備投資がキャッシュフローに占める比率が1ポイント上がれば、物価は1ポイント強も押し上げられる」とのこと。*1 *1:なお、今のところ、原資料は…

中山貴司・河合祐子「クレジット市場の発展に関する一考察〜クレジット・デリバティブ市場を中心に〜」(日銀レビュー)

CDS市場には、リスク・ヘッジ(プロテクション買)や投資(プロテクション売)といった実需取引に加え、価格変動による収益を狙ったトレーディング取引が存在するが、実需取引があってはじめて持続的な市場が成立。英国銀行協会の調査では、銀行がプロテクシ…

日本銀行「西村審議委員就任記者会見要旨 」

記者 不動産価格に対する量的緩和の影響について、専門の立場からは影響があるとお考えか。不動産価格については、REITを中心に多少なりとも上昇がみられており、都市部はご覧の通りの状況になっているのだが、委員の見解を伺いたい。 委員 不動産価格と量的…

中上健次「岬」

岬 (文春文庫 な 4-1)作者: 中上健次出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1978/12メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 85回この商品を含むブログ (64件) を見る

ふるまいよしこ「見知らぬ隣人」(JMM 04/14/05発行)

新しい時代の波の中で生まれてきた、現代の新たなエリート層といえる大学生やヤンエグのために常に中国政府は新しい社会体制開拓をしてきているものの、いかんせん、まだまだ旧態依然とした体制が残っているために、膨張を続けるヤンエグたちはまだ窮屈さを…

関連して、「金融経済の専門家 若年雇用を語る」(吐息の日々〜労働日誌〜)へのコメント

若年層はバブルの後始末の犠牲者か?(JMM 04/11/05発行)

概要 真壁昭夫:エコノミスト 若年者の雇用問題は世界的な傾向であり、経済の低迷、教育から就業への移行等様々な要因。我が国では、グローバル化の進展により人件費削減による競争力の強化が重要な命題であり、その際、中高年の雇用カットより採用抑制を優…

平田渉、加藤涼「フィリップス曲線、粘着価格モデルと一般物価変動−米国のディスインフレの経験から−」(日銀ワーキングペーパーシリーズ)

より詳細な議論(未読)。

関連して、ichigoBBSにおけるザモデル氏の議論

加藤涼、川本卓司「ニューケインジアン・フィリップス曲線:粘着価格モデルにおけるインフレ率の決定メカニズム」(日銀レビュー)

伝統的フィリップス曲線 インフレ率とGDPギャップの間に観測されるフィリップス曲線は経験則に過ぎず、関係式の背後に存在している企業行動が明らかでないという意味で「ミクロ的基礎付けがない」とされている。 金融政策において統計的因果性を利用しようと…

「データブック国際労働比較2005」(労働政策研究・研修機構)

特集として、購買力平価について記載。 生活時間については、日本の男女間賃金格差が大きい(p.139)ことが、日本において(相対的に)男性の労働時間が長く家事時間が短いことの原因となっていると考えたことがあったが、厳密には些か乱暴な議論*1。当該表(…

(基本)国民経済計算

国民経済計算とは、国の経済を企業会計のフレームで論じるための原則。取引は複式簿記的に考えることができるため、生産・分配・支出の側面から計測されるそれぞれの数値が、生産=分配=支出(三面等価)となるように推計される。国内総生産は、産出される…

某ブログにおけるglueball氏と稲葉氏の議論(コメント欄)及び翌日のエントリーに対するコメント

(追記)04/12付けエントリーで、実証的には「金利とCPIに相関がない」と発言されているが、必ずしも金利とCPIの因果関係に着目して金融政策を行っているとは限らず、理論的にもCPIと需給ギャップの水準に基づくテイラー・ルールが存在。また、総需要の拡大…

永井均「これがニーチェだ」

これがニーチェだ (講談社現代新書)作者: 永井均出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/05/20メディア: 新書購入: 7人 クリック: 96回この商品を含むブログ (115件) を見る第1章 道徳批判−諸空間への序章 なぜ人を殺してはいけないか。「重罰になる可能性を…

従業員給与のFair Valueについての考察

Fair Valueとは何か−これを従業員給与のそれにあてはめて考えた場合、それは企業内部の評価によるべきか、それとも、外部労働市場における評価によるべきなのか−後者だと断言する者にあっては、年功的要素(生活給概念や「知的熟練」)に基づく給与体系は「…

「経済成長」と「景気拡大」はどう違うのか?(JMM 04/04/05発行)、加えて村上龍氏の「若い国」解釈

回答者のコメントで興味深い点は、岡本慎一氏が〈我々は、短期的な景気変動をあたかも持続的な構造変化を伴う「経済成長」(グズネッツ)とみなしがちである〉と指摘していることが上げられる程度か。 ただし、村上龍氏の最後のコメントは、その「共感する要…

「ニーチェとオルテガ 「貴族」と「市民」」(内田樹の研究室)

自分が単独で生きている経験そのものがすでに「見知らぬ人間との共同生活」であるようなしかたで複素的に構造化されている人間だけが、公的な準位で「見知らぬ他者との共同生活」に耐えることができる。 つねにためらい、逡巡し、複数の選択肢の前で迷う人間…