備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

中間所得層のウェイトが高まる日本の消費

 昨日の日銀政策決定会合では、今後の物価情勢の判断が重要な決め手となったが、これを占う上で、個人消費に強さが表れてくるのかが重要な判断材料となる。個人消費を考える上で、例えば、米国の個人消費は所得上位5%程度が消費全体の90%を占めるといった話があり、いつも「ホントか?」という気分になる。少なくとも日本の常識としてはあり得ない。米国は、日本の常識では考えられないような格差社会だということなのだろうか。
 日本の現実を見るために、年間収入階級別世帯分布と月間平均消費支出のデータを使って、月間総消費支出の構成割合をみたのが下の表である。

 2004年のデータでは、全世帯の約12%を占める年収1000万以上層の消費分布は20%程度であり、米国のような極端な消費格差はあり得ない。年収300〜800万円までの層で、総消費支出の半分以上を占めている。しかも、過去5年間の変化でみると、低所得層の世帯構成が高まり高所得層の世帯構成が低下しているが(年収1000万以上層の構成比で16.6%→12.2%)、それ以上に高所得層の消費分布は低下している(同27.1%→20.8%)。
 この消費分布の変化要因を①世帯当たりの消費支出変化要因と、②世帯分布変化要因に分けてグラフ化したのが下のグラフ。

 これによると、年収300〜600万円の中間所得層は、世帯分布が高まると同時に1世帯当たりの消費支出をも増加させており、全体の消費に与える影響力が大きくなったことを示している。中間所得層の消費を支えていくことは、今後の個人消費を考える上でも重要な要素であろう。このような観点からみても、低い金利を継続して中小企業等の経営の安定を促し、今春闘の動向にも好影響を与えることが重要であると思えるのだがなぁ。