ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

富田洋三「脱産業社会と新しい問題」(実践女子大学富田ゼミ)

「5-2) 産業社会の成功と行き詰まり」において、小野善保「不況の経済学 蘇るケインズ*1を引用し、次のように記述。

「消費の効用は消費量の増加に応じて低下するが、貯蓄に伴う流動性保有の効用は低下しない」。貯蓄は、将来の具体的消費を目的になされるものではなく、それがあれば「あれも買えるこれもできる」という期待感によってなされるもので、それ自体が自己目的となっている。だから、流動性(貨幣)に対する効用は飽和することはない。このことを流動性選好の非飽和性というが、それが存在するかぎり、生産力の増大と共にいずれは不況が必然化する。なぜなら、生産力の増大によってモノやサービスがあふれ、その限界効用が低下してくるといつかは貨幣のそれを下回るようになり、それによって人々は消費よりも貯蓄を選択し、そのために有効需要が不足して経済は不況に陥るからである。これが「貨幣経済の基本的性質」であると小野はいう。この状態から免れるためには、貨幣の限界効用を上回る魅力的な新商品の登場が必要になる。

*1:

不況の経済学―甦るケインズ

不況の経済学―甦るケインズ