ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

私家版「幸福の政治経済学」の試み(その3)

※このエントリーは、結論部分を除き非公開としました。これとは別に、一般に公表されているマイクロ・データを使用した分析をおこなっており、こちらについては、機会があれば公開します(02/20/09)。

 ここから導かれる含意は次のようなものである。

  • 男性と比較して、女性の幸福度は高い。
  • 年齢が高まるほど、幸福度は低くなる(年齢が1単位高まると、幸福確率は0.026低下)が、その効果は低減する。
  • 未婚者と比較して、既婚者の幸福度は高い。特に有配偶者の幸福度は高い(有配偶確率が1単位高まると、幸福確率は0.285上昇)が、離別・死別者の幸福度も、未婚者のそれと比較すれば高い(同0.165上昇)。
  • 高卒者と比較して、大学・大学院卒者の幸福度は高いが、その有意水準は必ずしも高くない。また、中卒者、専門学校卒者、短大・高専卒者の幸福度には、高卒者の幸福度との明確な違いはない。
  • 世帯年収については、概ね、その水準が高まると幸福度が大きくなるというリーズナブルな結果が導かれるが、その有意水準は低い。
  • 役員・典型雇用者と比較して、非典型雇用者、自営業者、無業者の幸福度は低くなる。

 学歴と世帯年収には相互に因果関係があることが考えられるが、それぞれ1つを除いてのプロビット分析も行ったが、限界効果や有意水準に明確な変化は現れなかった。

 また、これらの結果には、本調査の選択肢ではコントロールすることが出来ない他の属性が影響している可能性もある。この分析に含まれておらず、幸福度に影響を及ぼし得ると考えられる主な属性としては、(1)身長・体重や容姿の違い、(2)自由時間、(3)消費水準、(4)資産規模や持ち家の有無、(5)性格、等がある。

 このうち、(5)については、本調査にも、個人の持つ悩みや公平感・中流意識等の調査項目があり、これらを変数に加えることで、他の変数の限界効果や有意水準にどのような変化が生じるか、という点を今後さらに分析してみる価値がある。また、サンプルを有職者に限定し、勤務先の産業・規模や労働条件の違いが幸福度に与える影響をみる、という点も分析してみる価値がある。