ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

『gdgd感想』なる文章への返答


http://d.hatena.ne.jp/bunz0u/20120115/1326565348

 エントリーを読ませていただきました。予想したとおり、ひどい代物でした(笑)。とはいえ、以下、返答を書かせていただきますが、最初に、理屈で議論することとは異なる点について指摘させていただきます。

 まず、「全体的に知能不足」「愚かで特殊で脳内が残念」と留保条件をつけていらっしゃいますが、そもそもこうした留保条件をつけた上で自説を(曲がりなりにも)公開の場でとうとうと述べる人に、本気でそのように考えている人はおらず、実際には、そのこと自体が「上から目線」で全脳感に浸っている証拠です。自分は、例えば経済の論文を読みながら、自分の能力のなさにがっかりすることがよくありますし、おおくの皆さんもそうではないかと思うわけですが、そんなときにあなたのような態度をとりますかね?
 それから「震災の影響、被災者の状況」を無視していいなどとは思っておりません。この文章を読んで、「震災の影響、被災者の状況」を無視していいと書かれている、と理解する人がいるというのは、私にとっては率直な驚きでしたし、私にはあなたのイマジネーションが理解できません。まあ、皮肉は抜きにしても、以前のエントリーで「政治的(パフォーマティヴ)な言説と学問的(コンスタティヴ)な言説の違いに注意する。政治的な言説は、人間の感情に訴えることで、学問的な反論を許さないことがある」と書いたことがありますが、あなたの文章にもその傾向(特に、その中でも悪質で稚拙なもの)を感じております。
 最後に、「愚かな議論」とは書きましたが、あなたのことを「愚か」といった覚えはありませんよ。私はそれほどあなたのことはわかりませんし、興味もありません。

 このように、あまりにもひどい文章で、私にとっては読むに耐えないわけですが、以下、かろうじて理屈で議論でき得る点について、返答させていただきます。

1.賃金が高すぎる「可能性」があると書いた意図については、賃金が均衡価格(=公正価値)に相当する場合、経済は完全雇用になる、という理想的な市場を前提とした一般論でいっているだけです。それも、「マクロ経済の条件を「所与」とするならば」という留保条件をつけた上でのことです。「賃金が低すぎるのならもっと労働力の供給の減少が起こっているはずだ」というのはそのとおりですが、労働力の供給が減少したときに上昇するのは、失業率ではなく欠員率ですよね(笑)。

2.「単純にセーフティーネットがクソすぎて、どんな条件でも働かなければいけない人が無視できないほど多い」というときの、クソ過ぎるセーフティネットとはどのようなものなのでしょう? 私の乏しい見識で想像できるのはつぎの2点、(1) 失業保険の給付期間が短すぎる、(2) 生活保護の受給要件が厳しすぎる、といったところでしょうか。では、いまの失業者のほとんどが働かなくでも済むよう、失業保険や生活保護をより寛容なものにすべきなのでしょうかね。それも、国際比較ではかなり低い部類の日本の失業率であっても? 私にはとても賛同できませんが、そういうのもひとつの見識でしょうし、ここではこれ以上触れないことにします。

3.正規雇用の賃金が、(非正規雇用と比較して)低すぎることを指摘する統計や研究は、管見の限りではみたことはありません。(私の勉強不足かもしれませんが。) もちろん、正規雇用の会社への拘束はより強く、拘束時間も長いと考えられるので、非正規雇用者の満足度の方が高い可能性はあるかもしれません。でも、経済危機以降の文脈でほんとうにそんなことが指摘できますかね?

4.「労働力の供給が減少するなら、失業率は上がる」???  労働力の供給が(一般には高齢化や高学歴化によって)減少するなら、労働市場から退出する人が増えるでしょう。「完全失業率」の定義をよく勉強しましょう。

5.「マクロ的に見て」賃金が高すぎると書いた覚えはありません。前述のとおり、「マクロ経済の条件を「所与」とするならば」賃金が高すぎる可能性があるとは書きましたが。かつ、その高い低いの参照基準はあくまで市場における均衡価格です。

6.「賃金と物価〈の高低〉はマクロ的にはほぼ同一の事象」(〈 〉内は再引用者補足)と書いたことについて、「マクロ的に見て賃金が高すぎるという時は物価が高すぎるの?」と返される可能性は想定しておりませんでした。このあたりは、他人の目を通さずにポストできてしまうブログの限界でしょうか(笑)。いずれにせよ、「マクロ的に見て」賃金が高すぎるとは書いておらず、その意味するところも理解しておりません。一方で、このパラグラフで使用されている「賃金」の概念は、前のパラグラフで使用されている「賃金」の概念とは異なっているので、文章の書き方としてはいかがなものか、との批判はあり得ると思います。なおこの部分は、今回のエントリーを書いたことの、私にとっての唯一の収穫でした。

7.「生産性上げんなら労働時間が減っても時間当たりは上がるんじゃね、とそう思った。もっと残業、休日出勤とかに関してバシバシやればいいんじゃねと」???  残業、休日出勤バシバシやれば、労働時間は増加しますよね(笑)。あえて補足すると、生産性=労働生産性と解釈し、労働時間が減っても産出量が減らないのであれば、「労働時間が減っても時間当たりは上がる」ということはそのとおりですね。で、それで何が仰りたいの?

 返答は以上です。私が上で「ひどい代物」といった理由がお分かりでしょうか? たぶん、全脳感で悪意に満ちた解釈をするような人には理解できないでしょうね(笑)。いずれにせよ、今後の応答は不要に願います。ひどい週末を本当にありがとう。さようなら。