ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する検討チーム(金融庁)

 ソルベンシー・マージン比率とは、「保険金等の支払い能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準」と定義されており、計測された通常の予測を超えるリスク(実際の計算では、これに1/2を乗じる)に対して、自己資本、危険準備金、異常危険準備金等の支払余力(マージン)が十分であるかを比率として示したもの。保険会社は、年2回、業務報告においてその数値を開示する必要があり、当該数値が200%に満たない場合、その多寡に応じた行政上の措置(早期是正措置)が発動される。
 今回の見直しの視点や課題については、第1回資料の中の「ソルベンシー・マージン規制の見直しのイメージ」と題された資料の中に明示されている。その内容によれば、①金融市場実勢の反映、②保険商品の多様化、リスク管理手法の高度化等、③国際会計基準等との整合性、の3つが見直しの視点とされ、市場実勢等に合わせたリスク係数の見直し等の短期的な課題とともに、中期的な課題として、保険負債の時価評価を前提とした新たなソルベンシー・マージン規制について検討を進めようとしている。
 短期的な課題については、一連の生保危機以降様々な指摘がなされており、マージンの計測において継続価値とすべきか清算価値とすべきか(繰延税金資産、将来収益を加算することの妥当性)等についての議論がある。一方、中期的な課題の検討にあたっての背景事情には、2つの国際的な動きがあると考えられ、1つには、国際会計基準審議会(IASB)における保険負債に関する国際会計基準(フェイズⅡ)策定に向けた動き、2つ目には、「バーゼルⅡ」と称される銀行の新たな自己資本規制に向けた動きがある。
 特に、後者においては、従来のような、資産区分ごとにある一定期間で計測したバリュー・アット・リスク(VaR)に基づいて決定された「リスク係数」を当該資産額に乗じ、当該資産区分のリスク量とするといった「リスクファクター方式」だけではなく、金融機関における内部管理モデルにより計測されたリスク量とすることを認めることで「プロジェクション方式」によるリスク量の計測が可能となった。金融機関の市場リスクがALMで管理されている現実を考えれば、このような改正の動きは妥当なものであり、むしろ、金融機関の資産構成を合理的なものとする方向へ働くと考えられる。同時に、開示については、より精緻なものが求められる。*1
 現在、第3回まで開催されており、各委員提出の資料の全てをみることができる。なお、検討チームの報告書は、3月を目途に作成されるとの事。

*1:この点は、先日のエントリーに記載した内部統制の制度化に向けた動きとも整合的である。