ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

フリードリヒ・A・ハイエク「自由の条件[2] 自由と法」(2)

自由の条件II ハイエク全集 1-6 【新版】

自由の条件II ハイエク全集 1-6 【新版】

第13章 自由主義と行政府=法治国家

  • フランス革命は、法の支配という理念に強く鼓舞されたものであったが、同時に実現された人民主権によって、権力の乱用に対する防衛手段は不必要になったとの信念から、法治国家の理念の影は薄くなり、憲法は実現されなかった。その後、「国務院」の別の方向への発展強化(略)。
  • カントの定言命法−−「汝がその行為において従うべき格率はそれが普遍的法則となるように、汝が同時に望むことのできるものでならねばならぬ」。ドイツの発展は、立憲君主制の枠組みで進められたため、民主主義の到来により問題が自動的に解決されるとの幻想にはあまり捕らわれなかった。ただし、19世紀末に、大陸の各地では、理論と実践の著しい矛盾が示されるようになり、福祉国家の前進は、法治国家の理念と両立し難い特徴をもたらす。

第14章 個人的自由の保障

  • 法の支配とは、法それ自体による支配ではない。立法全体に対する制限であり、法がどうあるべきかに係る規則(超−法的原則或いは政治的理念)。民主主義の下では、共同社会の道徳的伝統、多数の人が共有し問題なく受け入れる共通の理念が形成されない限り、法の支配は普及しない。法の支配が政府を制限するのは、その強制的活動においてのみ。
  • (法の備えるべき原則である)一般性と平等性以外に、「公正」という形式的な基準があるかどうかは疑わしい。
  • 法の支配に直接影響する自由裁量が我々にとって関心事となるのは、行政府が市民の私的領域に介入するときのみ。法の支配の下では、当局の活動がその権限内のものか、或いは法律によって要求されたものか、を決定する権限を裁判所が持つことが要求される。今日、私的領域をのみ込んで絶えず成長する行政機構の傾向に対し、市民社会の領域を守ることが、法の支配が極めて重要であることの所以。

第15章 経済政策と法の支配

  • 法の支配に合致する限り、政府の政策手段を政府干渉として拒絶すべきでなく、一つ一つの場合ごとに便宜の観点から検討する必要がある。政府の強制手段と純粋なサービス活動を区別。さらに、自由体制は原則として経済的活動の一般的な規則を排除するものではない。
  • 一切の価格及び数量の統制が自由体制と合致しない理由は、(1)その様な統制が恣意的にならざるを得ないこと、(2)市場機能を適切に作用させる形で統制を実施することができないこと。自由体制が適切に機能するには、法の支配が一般的規則であるというだけでは十分ではなく、市場が有効に働くような法の支配が成立していなければならない。
  • 分配的正義を目標とするならば、人々が何をするようになるかの決定は一般的規則から導出できず、特定の目的と計画当局の知識とに照らして下さざるを得ない。社会の意見によって人々が受け取るものを決める場合には、同じ当局者がまた、彼等に何をさせるかも決めなければならない。

第16章 法の衰退

  • 法の支配による権限の制約を嫌う法実証主義、歴史主義、「自由法」学派、「利益法学」派。法実証主義は、「自然法」の概念に真っ向から反対。H・ケルゼンの学説(略)。法の支配の下では国家は不自由であり、国家が「公正」に活動するため、抽象的規則の束縛から解放されねばならないと考えるようになる。
  • 法の復活の徴候(G・ラートブルフ等)(略)。

(本書へのコメント・感想はまた後日。今後は、要約とは切り離してエントリーする方針です。)