ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

真の失業率──2020年5月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

5月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.9%と前月より0.3ポイントの上昇、真の失業率も2.2%と前月より0.1ポイントの上昇となった。グラフの真の失業率は後方移動平均によるもので、足許の動きは緩慢である。このため季節調整値(後述のCSVファイルを参照)でみると、4月は3.5%、前月差は1.4ポイントと大きく、5月は概ね前月と同水準となる*1

非自発的失業者は増加(4カ月連続)し、非正規雇用の減少も先月と同様であるが、加えて正規雇用の増加傾向は停止、特に男性の減少幅が大きくなった。また、一般職業紹介状況(厚生労働省)の新規求職申込件数も増加に転じた。

所定内給与と消費者物価の相関に関する4月までの結果は以下のようになる。昨年末以降、賃金・物価の減少傾向が明確となり、デフレの方向性で推移、概ね、2008年の金融危機後と同一の位置関係となっている。

(注)本稿推計の季節調整法を、2020年1月分から変更*2した。

(真の失業率のデータ(CSV)が必要な方はこちらへ)
https://www.dropbox.com/s/5jffx3n8ab5zzbt/nbu_ts.csv?dl=0

*1:4月は、季節調整のための事前調整モデルを推計する際、AICテストの結果レベルシフトが検出されている。

*2:X-12-ARIMAからX-13-ARIMA-SEATSに変更し、曜日効果、異常値はAICテストにより自動検出(モデルは自動設定)とした。