完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。
※今回から、真の失業率のグラフを季節調整値に変更しました。
7月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.9%と前月より0.1ポイント上昇したが、真の失業率は3.3%と前月より0.1ポイント低下した*1。
非自発的失業者は前年差で増加(6カ月連続)、非正規雇用の減少も先月と同様であるが、正規雇用は2カ月連続で増加した。
このところ話題となっている休業者の動きをみると、4月の前年差にみられた拡大幅は、その後しだいに縮小している。*2。
所定内給与と消費者物価の相関に関する6月までの結果は以下のようになる。賃金・物価の減少傾向は反転、再び増加の方向へ転じた。
なお所定内給与について2011年以前の接続可能な指数が公表されたことから、(これまで使用してきた)リンク係数による試算値を公表値に置き換えた。過去分の賃金はやや低めとなったが、全体的な傾向に変化はない。
これに対し2018年の調査変更により生じることとなった暦年別のサンプルバイアスの影響は大きく、共通事業所による前年同期比を用い指数を延長推計する等の方策も考える余地がある。ただしこの場合、既存サンプルに含まれるサバイバル・バイアスが補正されず将来にわたり積み重なる(別の)問題が生じる。
(注)本稿推計の季節調整法を、2020年1月分から変更*3した。
(真の失業率のデータ(CSV)が必要な方はこちらへ)
https://www.dropbox.com/s/5jffx3n8ab5zzbt/nbu_ts.csv?dl=0