ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

「90年代の格差拡大の主因は何か?」に係る追記

 75年以降のデータにより追加的に分析したところ、以下のような点を発見。これらをまじめに論述したら、小論文的なのが1本できそうな感じ。何分、Excelの分析ツールによる素人分析なので*1、御指摘等は歓迎します。なお、次回以降は、いつものペースに戻る予定。

  • 77年以降のデータでみると(それ以前のジニ係数の水準はジャンプしている)、全世帯のジニ係数完全失業率には、相関関係がないが(高齢化率については、相関関係あり)、勤労者世帯のジニ係数完全失業率には、相関関係がみられ、高齢化率についても、90年代以降のデータでみた場合とは異なり、有意な相関関係がみられる(勤労者世帯:R=0.8409、全世帯:R=0.6914)。*2
  • 75年頃とバブル期には、他の期にみられるジニ係数(勤労者世帯)と完全失業率の相関関係が反転する。(グラフの囲み部分)
  • ジニ係数(勤労者世帯)と完全失業率の階差をとると、トレンド的にはほぼ横ばい。たたし、完全失業率の振幅は、90年代以降に大きくなる。
  • 77年以降のデータでみると、ジニ係数(勤労者世帯)には、有意にトレンド項の存在が確認される*3が、90年以降のデータでは確認されない。一方、完全失業率には、トレンド項の存在が確認されない。トレンド項を除去したジニ係数(勤労者世帯)と、完全失業率には、有意に相関関係がみられるが、高齢化率については、有意な相関関係がみられない。また、R=0.5892と、相関係数は低くなる。77年以降のジニ係数にみられるトレンド的な増加傾向には、高齢化等の要因が作用した可能性があるが(高齢化率についてはほぼ単調に増加している)、90年以降は、それ以外の変動要因がより強く働いている可能性がある。(たぶん)
  • ジニ係数(勤労者世帯)は定常であるが、完全失業率については、単位根が存在する可能性*4。トレンド項を除去したジニ係数(勤労者世帯)を完全失業率、高齢化率を説明変数として回帰させた場合の残差は定常。

*1:入力ミスや操作ミスの可能性も否定できない。

*2:全世帯に含まれる自営業世帯等については、勤労者世帯とは異なり、所得の捕捉が難しいことが想定される。

*3:gini(t)=b・gini(t-1)+a・t+c+u(t) の推定において、tが有意な説明力を持つことをもって「トレンド項が存在」と判断。

*4:x(t)=b・x(t-1)+a・t+c+u(t) の推定において、b=1となる可能性があることをもって「単位根を持つ可能性がある」と判断。なお、この事実は、完全失業率に履歴効果が存在する可能性を示している。cf.出島敬久「日本の失業の履歴現象と失業率高止まりの可能性」