ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

真の失業率──2017年1⽉までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に 就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。今回は、推計の基礎となる潜在的労働力率を2016年まで延長推計た上で、2017年1月までの結果を過去に遡って再計算した。

まず、年間の結果をみると、足許の2016年の真の失業率は3.5%で、前年よりも1.0ポイント低下した。また、公表値の完全失業率3.1%に対して0.4ポイントの開きがある。前回の推計値と比較すると、潜在的労働力率が変化したことにより、真の失業率は上振れしている(2015年の値で約0.4ポイ ント程度の上振れ)。改訂による年齢階級別潜在的労働力率の上昇幅は引き続き大きなものとなり、真の失業率の改定幅は、前回改訂時をやや上回った。

つぎに、1月の月次結果をみると、完全失業率(季節調整値)は3.0%と前月よりも0.1ポイント改善し、真の失業率(改訂後)も3.2%と前月よりも0.1ポイント改善した。引き続き真の失業率は減少基調である。(12月の真の失業率は、前回は2.5%としていたが、改訂により足許で0.8ポイント程度上振れし、3.3%となった。)

所定内給与と消費者物価の相関に関する12月までの結果は以下のようになる。賃金および物価は、引き続き停滞している。

(付記)
コメント欄でのリクエストに応え、今回、潜在労働力率に補正を行わない「真の失業率」を推計した(年間値のみ)。

補正を行わない場合、その分、潜在労働力人口および推計上の(真の)失業者数が下方修正され、相対的に就業者数の割合が増えるため、修正後の「真の失業率」の水準は低くなる。具体的には、1995年から徐々に失業率の修正幅が大きくなり、2008年のピークでマイナス0.5ポイント、その後は修正幅がしだいに小さくなり、足許の2016年でマイナス0.4ポイントとなる。
水準の違いはあるものの、特に足許の動向としてみる分には双方の推計値にさしたる違いはない。すなわち、「真の失業率」の水準についての哲学的議論に興味がある向きは兎も角、経済動向を考える上では、この推計結果にそれ程の意味はない。

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