2005-01-01から1年間の記事一覧
他に類をみない希望学という新しい社会科学が目指すのは、次の三つの普遍的な問いに対する答えの追求です。一つは「社会において個人が形成する希望とはそもそも何なのか」という問いです。(中略)第二の問いは「社会が個人の持つ希望にどのような影響を及…
カミュはかつて「希望とは一般に信じられていることとは反対で、あきらめにも等しいものである。そして、生きることは、あきらめないことである」と言いました。「絶望とは虚妄であるように、希望もまた同じだ」魯人もそうですが、希望にまつわる言説は、ど…
「コピーライツという考え方はよろしくない」ということを時々発作的に申し上げているが、それはロラン・バルトやジャック・ラカン以来の、「私が語っているとき、私の中で語っているのは〈他者〉である」という「現代思想の常識」テーゼを繰り返しているに…
毎月勤労統計調査では、一般労働者が増加しパートタイム労働者が減少。ただし、「一般労働者」=正社員ではない。労働力調査では、パートが減少する一方、派遣社員、契約社員・嘱託は増加しており、雇用増の主役が「非正規の職員・従業員」であることに変わ…
正社員・非正社員の処遇格差の是正に繋がる動きとして、①成果主義賃金の導入、②契約社員、派遣社員、インディペンデント・コントラクター等非正社員内での多様な就業形態の生成、③大手スーパーにおける「正社員的パート」の登場等正社員・パートの中間形態の…
金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)作者: 吉本佳生出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/05/17メディア: 新書購入: 3人 クリック: 45回この商品を含むブログ (59件) を見る
私・今・そして神 開闢の哲学 (講談社現代新書)作者: 永井均出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/10/19メディア: 新書購入: 4人 クリック: 30回この商品を含むブログ (102件) を見る(追記)問題の類似性を考えて、柄谷行人「探究Ⅰ」*1第1章「他者とは何か…
日本産業を取り巻く国際的自由化・規制緩和の基調を考えると、国際競争力を配慮した産業バランスの観点から、日本産業間の適正ポートフォリオとして製造業への人材資源配分を国策として重要視すべき。技術資源の潤沢な保有・維持の仕組みは十分ではないが、…
(中略)「剰余労働」を動機づける内発的な動因はひとつしか考えられません。「交換への欲望」です。とりすぎた「から」交換するのではありません。交換したい「から」とりすぎたのです。(中略)「いずれ要るかもしれないけれど、とりあえず今は要らないも…
J-REITでは、不動産の価格は、その不動産が生み出す収益を基に求められ、同様にJ-REITの価値も決定。J-REITの収益が増加する過程は、内部成長、外部成長、財務運営という3つの観点から整理可能。 内部成長は、保有不動産の稼働率の上昇や賃料上昇、経費削減…
1 J-REITの仕組みと意義 J-REIT*1のSPVである「投資法人」は、「投資主総会」「執行役員」「監督役員」等により構成。投資法人は使用人を雇用できないため、法人の事務は「一般事務委託者」に委託。また、執行役員自身は投資判断ができず、投信法上、投資信…
J-REITには、制度的な論点の外、減価償却、新投資口発行費の繰延資産計上、消費税をめぐる論点があるが、今日的には、減価償却をめぐる論点が最も注目される。具体的には、土地・建物等の所得価格の按分、建物等における躯体と付属施設等の按分、それぞれの…
最近AIG関係で問題になった「ファィナイト」再保険、我が国では大蔵省時代に通達まで出して認めた財務再保険のことが、II−2−6で触れていないが、II−2−6−1の(注)により廃止されたものと解してよのか確認したいものだ。 コメント 規則第71条第2,第3項(及…
私・今・そして神 開闢の哲学 (講談社現代新書)作者: 永井均出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/10/19メディア: 新書購入: 4人 クリック: 30回この商品を含むブログ (102件) を見る第1章 開闢の神をめぐってたゆたう序章第2章 ライプニッツ原理とカント…
財政赤字を考慮した潜在的国民負担率は、負担面から見た公的部門の大きさを示す指標。一般的に、公的部門のウェイトが過度に拡大すれば、経済全体の生産性が低下する可能性。OECD諸国間の潜在的国民負担率と経済成長率の間には緩やかな負の相関。 郵政民営化…
(中略)日本版ファイナンシャル・アクセラレーター・モデルを推計し、企業の純資産/総資産比率の推移に影響を及ぼしてきた外生的ショックを識別する。分析の結果からは、企業のバランスシート・チャネルに関する推計パラメータは統計的に有意であることが確…
1.近年、企業等の競争力の源泉として、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の「知的資産」を活用した経営(「知的資産経営」)の果たす役割が重要となってきており、資本市場側も企業等の評価において、こうした無形の資産をより重視する…
「どこまで本当かなぁ・・・」(Bewaad Institute@Kasumigaseki) 「ダースベーダかよ」(Economics Lovers Live) コメント 金融財政事情掲載の論文をめぐる議論であるが、同論文は未読。議論(特に後者のコメント欄)を見ていると、論点は、①郵政民営化等…
15〜34歳の非労働力人口のうち、通学と家事手伝いを除いた者をニートと定義すると、都道府県別のニートの(若年)人口比と失業率の関係には相関がある。ニート人口比を雇用環境要因(15〜34歳失業率)、学校教育要因(不登校児童出現率)、経済的要因(親と…
猪瀬直樹「どうなる日本の民営化」(MM日本国の研究 04/28/05発行) 山崎養世の『田園からの産業革命』 ちなみに、日本の名目国内総生産に占める農林水産業の割合は1.3%(2002年)で、米国(1.4%、2001年)とほぼ同水準。英国は0.9%(2001年)、ドイツは1.…
近年の消費性向の上昇は、高齢者ウェイト上昇よりもむしろ、高齢者層自体の消費性向の上昇。これは、堅調な消費というよりも、所得の減少程には消費を減らせないため。消費動向調査の結果をみると、これは所得の減少が一時的と考えるため(恒常所得仮説)と…
日本の金融問題は、ほとんどがミクロの問題。いくら財政・金融政策をとっても解決されない。ゼロ金利政策などの過大な刺激策が、財政の破綻、株式市場の危機等を招いている。金融問題の最終的な解決には複雑系ともいえるシステムの再構築が必要だが、複雑さ…
銀行準備の利子弾力性が無限大になる「流動性の罠」に陥っている場合には、資金供給増の効果はゼロであるが、短期の市場利子率がゼロであっても、より長めの金利が正であり、資金需給に反応して銀行がより望ましいとする超過準備が変化する限り効果がある。…
引き続きドーア物。「働くということ」をタイトルとする書籍の変遷については、興味深いところ。また、ILOの理念には、市場個人主義を主導し拡散させる「コスモクラット」をも説得する可能性があることを強調(特に「一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険」…
(中略−「日本型」のシステムに関連して)もちろんこのシステムに問題がないわけではない。構造的な問題ならおそらくいくらでも列挙することができるだろう。しかし、どの構造的問題も「日本型資本主義」にとっては致命的とはいえない、と私は理解している。…
物価の安定が国民生活の安定及び持続的な経済成長にとって重要な理由は、①相対価格のシグナル機能の発揮、②将来の物価変動に関する不確実性の低下*1、の他、③靴底費用の低下*2、④税制を通じた投資抑制効果の軽減*3がある。 価格粘着性が高まると(シグナル機…
労働政策研究・研究機構において配信中。近著については、05/10エントリー参照。 (追記)ライブドア/ニッポン放送間の訴訟についての言及の詰めの甘さといった点はさておき、稲上先生が日本の経営者に期待したいと発言した点に対し「おめでたい」と表現さ…
つまり、政策の効果は、その照準が的確なものかどうかに依存するということ。若年無業者を広くニートとしてカテゴライズしてしまうと、ポイントのずれた議論になるだけでなく、本来のニートの問題が隠されてしまうことにならないか。