備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

2006-01-01から1年間の記事一覧

柄谷行人「世界共和国へ−資本=ネーション=国家を超えて」

世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/04/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 76回この商品を含むブログ (142件) を見るコメント 「柄谷史観」とでも言うべき理論が展開される書。最…

伊藤宣広「現代経済学の誕生 ケンブリッジ学派の系譜」

現代経済学の誕生―ケンブリッジ学派の系譜 (中公新書)作者: 伊藤宣広出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2006/04メディア: 新書購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (15件) を見る第1章 科学者と説教者−A・マーシャル 部分均衡理論は、「他の…

「地方の若者の職場」(労働・社会問題)に対するコメント

(追記)しっかし、言ってるさきからこれだから「ソシアル」なものに潜む陥穽は恐ろしやw

「一部門、固定係数生産関数による日本経済の現状の分析の試み(その1、その2)」(労働、社会問題)

ここでのコメントに付け加えるべき点として、このモデルには、(所与である)有効需要が足りない場合、政府支出を拡大しそれを補うことで、均斉成長水準を確保することが出来るという含意がある。ただし、総需要は内生化されないので、今期の成長水準は翌期…

稲葉振一郎、立石真也、塩川伸明「所有と国家のゆくえ」(ジュンク堂トークセッション)

行って参りました。内容については、いずれ活字になると思うので、ここでは概要報告に留めます。 セッションは、塩川氏の報告と稲葉・立岩氏への質問から始まり、これに対し両氏が答える、という形で進行。塩川氏は、「現存する(した)社会主義」について、…

木村秀美「援助をめぐる経済学者の「知の冒険」」

一方で、こんな話もある。 貧困を削減するもっとも直接的な方法としては、ODAを直接、貧困者への所得移転に当てることが考えられるが、世界全体のODAの総額から考えてもこの方法は非現実的である(詳細はBesley and Burgess, 2003を参照)。したがって、開発…

中山元「レヴィナスにおける哲学と宗教−レヴィナス「神学と哲学」を読む」

立岩理論を考えながら、似たような話を何処かで見たことがあるなぁと思い、思い出したのがこの論文。 主体は自律的な主体として成立しうるのではなく、すでに他者に責任を負った主体として成立してしまっているのである。...人は自由な人間として他者に対峙…

稲葉振一郎、立岩真也「所有と国家のゆくえ」(その3)

所有と国家のゆくえ (NHKブックス)作者: 稲葉振一郎,立岩真也出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2006/08メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (56件) を見る第1章 所有の自明性のワナから抜け出す 立岩所有論において特徴…

はてなポイント

匿名の方からはてなポイントを頂きました。有り難うございました。

田中秀臣「戦略的な不可知−生存権と自然淘汰=清算主義的メカニズム−」

(適者生存の原理から)出生者の全部が生存するわけにはいかず、また、この自然の大則がなければ人類の進化はない、というマルサス=ダーウィンの自然淘汰法則を認め、淘汰された人間に生存権を認めることは原理的に好ましくないとしつつも、一方で、運悪く…

ソロー・モデルとハロッド・ドーマー・モデルについて(労働、社会問題)

文春新書編集部編「論争 格差社会」

論争 格差社会 (文春新書)作者: 文春新書編集部出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/08メディア: 新書 クリック: 17回この商品を含むブログ (57件) を見るコメント 格差問題をめぐる論文集。 第1部『「格差」は本当にあるのか』では、近年の世帯所得ジニ…

デービッド・ローマー「上級マクロ経済学」(その2)

上級マクロ経済学作者: デビッドローマー,David Romer,堀雅博,南条隆,岩成博夫出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1998/02メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 26回この商品を含むブログ (12件) を見る第1章 ソロー成長モデル(続き) 1.4 貯蓄率の変化が…

稲葉振一郎、立岩真也「所有と国家のゆくえ」(その2)

所有と国家のゆくえ (NHKブックス)作者: 稲葉振一郎,立岩真也出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2006/08メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (56件) を見る 各所において、様々な論点から議論が行われていて勉強になりま…

デービッド・ローマー「上級マクロ経済学」(その1)

上級マクロ経済学作者: デビッドローマー,David Romer,堀雅博,南条隆,岩成博夫出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1998/02メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 26回この商品を含むブログ (12件) を見る第1章 ソロー成長モデル 1.2 諸前提 ソロー・モデル…

稲葉振一郎、立岩真也「所有と国家のゆくえ」(その1)

所有と国家のゆくえ (NHKブックス)作者: 稲葉振一郎,立岩真也出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2006/08メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (56件) を見る まだ第1章読了段階だが、特に立岩氏の議論について、自分にと…

労働力調査詳細集計結果(総務省統計局)

「正規の職員・従業員」の数は−グローバル経済の進展という経済の厳しい構造変化の中においても*1−着実に増加。厳密な比較はできないが、増加幅(46万人増)は90年代前半時に匹敵。非正規雇用比率も下げ止まりか。 *1:...そ、そんなこと書きましたっけかねぇ…

田中秀臣「経済政策を歴史に学ぶ」

経済政策を歴史に学ぶ [ソフトバンク新書]作者: 田中秀臣出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ発売日: 2006/08/17メディア: 新書購入: 7人 クリック: 69回この商品を含むブログ (53件) を見る第1章 「格差社会」の真相−小泉政権の負の遺産− 大竹文…

Microsoft adCenter Labs

当ブログの男女比は、男性0.6、女性0.4で、男性が中心。 年齢別の構成は以下のとおり。 概ね想定通りだが、同年齢層は意外と少ない。

藤木裕「開放経済下での金融政策入門」(日銀レビュー)

為替相場の決定要因については、①国際的な財・サービスからの取引需要、②国際間の資産選択需要、③国際的な財取引に働く長期的な裁定、等が指摘される。③によれば、為替相場は、長期的には、両国の物価水準を調整するように決まる(購買力平価説)。 (マンデ…

読書の前提としての備忘録−「ある種の人達」に関連して

08/16付けエントリーに関連して。ところで、社会システムについて、①契約と市場の下における個人の主体性を尊重すべきなのか、②国家や企業などのある種の中間的な組織体の中での安定を重視すべきなのか、という問題は、引き続き、オープン・クエスチョンとし…

ある種の人達

「ある種の人達」が求めている社会システムは、欧州型の資本主義のモデルとか、「定常型社会」とか言った半端なものではなく、社会主義そのものだ、ということがだんだんわかってきた。(だから「法規制、法規制」ということをしきりに叫ぶわけだ。)でもそ…

原尚子、長野哲平、上原博人、木村武、清水季子「経済見通しの作成における政策金利の前提」(日銀レビュー)

金融政策の効果が実体経済や物価に影響が及ぶまでにはラグが存在するため、政策運営はフォワード・ルッキングであることが必要。このため、金融政策運営においては、経済見通しを作成することが不可欠であり、その際、自らの操作変数である政策金利について…

「偽装請負と日本的雇用慣行」に係る追記

先日のエントリー「偽装請負と日本的雇用慣行」に対して、bewaadさんからまたまたコメントを頂いた。経済学的な論理としては、bewaadさんの議論は妥当だなと思いつつ、何か言わなきゃという気持ちもあるので、少しコメントしてみる。頂いたコメントの概要は…

偽装請負と日本的雇用慣行

「フリーターが語る渡り奉公人事情」からトラックバックを頂いた。その趣旨は、よく理解できなかったのだが、気になったのは、 高原基彰氏が、フリーター問題について、問われているのは日本国内の開発主義とその既得権益層だとの議論を提出しているが、これ…

伊藤智、猪又祐輔、川本卓司、黒住卓司、高川泉、原尚子、平形尚久、峯岸誠「GDPGAPと潜在成長率の新推計」(日銀レビュー)

潜在GDPとは、中期的に持続可能な経済の成長軌道であり、現存する経済構造を前提とした一国経済の供給力を表す。GDPGAPは、実際のGDPが潜在GDPからどの程度乖離しているかを示したもの。 コブ・ダグラス型生産関数 Y=(1-a)・K+a・L+TFP…② a:労働分配率 (Y,K…

濱口桂一郎「「現代日本の社会システム」講義 労働編」

第1回 学校から仕事へ:労働市場から見た現代日本 日本の工業化が軌道に乗りだした20世紀当初、日本の労働市場の特徴は高い異動率(1年間の平均移動率100%)。腕の良い職人程工場から工場へと移り(渡り職人)、親方職工による間接的な雇用管理。 日露戦…

「平成18年版経済財政白書 成長条件が復元し、新たな成長を目指す日本経済」(内閣府)

コメント さすが「経済財政白書」(!)という感じ。なお、日本的経営のパフォーマンス分析に関する因果関係の問題は、(大竹先生も指摘していたが、)自分も少し気になった。

「平成18年版国民生活白書 多様な可能性に望める社会に向けて」(内閣府)

コメント 国民生活白書は、フリーターの中高年化の問題(平成15年版)や若年層での所得格差の問題(平成17年版)などの分析を他に先駆けて世に出しており、(緻密な分析は他に譲るにしても、)これまでにない切り口から分析を試みるところが注目される。今年…

山本一郎「「俺様国家」中国の大経済」

”俺様国家”中国の大経済作者: 切込隊長・山本一郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/10/20メディア: 新書 クリック: 125回この商品を含むブログ (57件) を見るコメント 高い成長を続ける中国経済に対する悲観論。中国の高度成長については、日本の高度…