恒例のエントリーです。以下、順不同で。
岡崎久彦『戦略的思考とは何か』
1983年刊。現在、ソ連は既になく、中国が著しく台頭しその核心的利益が明確になる中、日本の周囲の情勢は様変わりしているが、本書にある「思考の型」は今でも当てはまる。日本の地政学的、或いは米国の勢力圏としての位置付けに、今も何ら変わりはない。例えば、集団的自衛権の必要性、何故アメリカがそれに強く拘るのかも、本書の「思考の型」を当て嵌めればよく理解できる。デモクラシーの下での戦争、情報重視戦略など、頁を捲るごとに学ぶべきポイントが次々に現れる。日本がこれまで如何に恵まれた環境にあり、情勢判断も戦略もない「単純思考」でも生き残ることができたのは何故なのか、つくづく思い知らされる。日本の進路とは、主体性は持ちつつも、「決定」すべきものではなく、「発見」すべきものなのだろう。